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木造宝冠釈迦如来像

木造宝冠釈迦如来像

 

平成21年(2009年)枚方市指定文化財

像高 41.8cm(現状)
構造 ヒノキ材、寄木造
時代 鎌倉時代後期

 

【説明】
小像ながら、バランスがよく、刀技のさえた仕上がりを示す優品である。
鎌倉期に宋様式の影響を受けた彫刻が制作されるが、本像もその一例である。
また、宝冠釈迦如来像は、この時期は禅宗とともに、新しい尊像が請来されるが、かかる動向を受けて造立された作例である。

 

【形状】
髪は総髪(そうはつ)に現し、頭頂に髻(もとどり)<欠失>を結い、天冠台(てんかんだい)をあらわす。
頭部正面に金銅製の宝冠(ほうかん)<後補>を打ち付ける。
面相は白毫相<欠失>・玉眼。
目頭・目尻に群青をひき、瞳は外から丹・墨。
唇は朱彩。
耳朶は環状し、耳孔は内部に貫通すると思われる。
三道刻出(さんどうきざみだし)。
体部は通肩(つうけん)に大衣をまとい、腹前に定印を結んで、結跏趺坐(けっかふざ)す。
胸飾り<後補>を着ける。
背面に袈裟の吊り金具をあらわす。

 

【構造】
頭部は前後二材に寄せ、差し首とする。体幹部は同じく前後二材を寄せ、膝前に横木一材を寄せる。
両体側部に縦木各一材を寄せる。
頭髪部を除いて、全面に布張りを施し、下地をおいた後、肉身彩色し、肉身部は金泥仕上げ、着衣部は切金で 卍 繋ぎ・麻葉繋ぎ文を表し、また盛り上げ彩色を施している。
像底に底板を貼る。